着物にシミがついてしまったとき、染み抜きをしてもらうためにクリーニングに出すことは多いと思いますが…
軽いシミがついてしまったときにクリーニングに出すのは、なんだかちょっともったいない気もしたりしますよね。
でも実は、できるだけ早く水もしくは低温のぬるま湯だけを使い、こすらずに軽く叩くように拭いてみると、ある程度の汚れは落とせるもの。
そう、ある程度の染み抜きなら自宅でも行うことができたりもするんです。
着物の染み抜き 自宅での方法
着物の染み抜きを自宅で行う際に注意してもらいたいのは、お湯やアイロンなどによる熱の使用を控えるということ。
そして、汚れの種類を見極めることが重要です。
染みの種類にもよりますが、シミは水を使用して落とすことが大切。
また、付着した汚れが油性か水性かを間違えてしまうと、染み抜きをしたハズなのに、反対にシミが取れなくなってしまうことも。
濡らさない方がいいシミもあるので、要注意です。
特に、口紅・インク・朱肉・クレヨンなどでシミをつけてしまった時、自分で着物の染み抜きを行おうとして濡らすのはNGですよ。
コーヒー、紅茶などによる汚れ
コーヒーや紅茶などの水溶性の汚れの場合は、何よりも早く、水分を吸い取ることが重要です。
- シミになった部分の裏側にタオルを当て、表側から別のタオルで「トントン」と優しく抑えます。
ゴシゴシこすったり、強く抑えると、繊維に染み込んで汚れが取れにくくなりますので、注意してください。
何枚もタオルを持ち合わせていない場合は、ティッシュでも問題ありません。
何枚か重ねたティッシュに汚れを吸収させましょう。 - 次に、ぬるま湯をタオルに染み込ませ、1番目と同じ要領で優しくシミを吸い取ります。
ぬるま湯が準備できないときは水でも良いです。 - 丁寧に1番目2番目の工程を行ってもシミが残っている場合は、薄めた中性洗剤をコットンなどに染み込ませ、「トントン」と優しく抑えます。
この時、シミの中心部からではなく、シミの周りから内側に向かって抑えていくことで、輪染みになることを防ぎます。
この作業を行うときには、着物の目立たないところで試し、着物の色柄に影響がないかどうかを確認した上で行ってください。 - 次に、コットンにぬるま湯を浸し、洗剤による染み抜きを行った場所を優しく抑え、浮いた汚れを吸い取ります。
この工程をを焦らず丁寧に行うことで、汚れが目立たなくなるほどシミが抜けます。
ポイントは、以下の3つ。
- 汚れたらすぐに染み抜きをすること
- こすらないこと
- 汚れの範囲を広げないこと
染みの状態を悪化させてしまうと、自分では手に負えないどころか、クリーニングに出しても請け負ってもらえない状態になる事がありますので、注意してください。
ファンデーションによる汚れ
ファンデーションの汚れは、油溶性の汚れです。
ドラッグストア等に売っているベンジンを使用して、染み抜きを行います。
- 汚れの裏側にタオルを当て、コットンや綿棒などにベンジンを含ませて、「トントン」と優しく抑えます。
このとき、強くたたいたり、こすったりすると繊維の中まで汚れが染み込み、汚れが落ちにくくなりますので注意してください。 - ベンジンを使用する場合、着物の色柄に影響がないか、目立たないところで試してから行い、さらに輪染みにならないように、周囲から汚れを浮かしていきましょう。
ベンジンを多く含ませてしまうと、着物の生地を傷ませてしまいます。
多すぎず、少なすぎず、調整しながら行ってください。 - 次に、コットンにぬるま湯を浸し、ベンジンによる染み抜きを行った場所を優しく抑え、浮いた汚れを吸い取ります。
何度か吸い取ることで、軽度のファンデーション汚れの場合は、色が目立たないほどシミを抜くことができます。
汚れが広範囲になっている場合には、クリーニングに出したほうが良い場合もあります。
着物は高価で、しかも一生ものですから、ベンジンを使っての自宅での染み抜きに不安がある場合には、クリーニング業者に依頼しましょう。
血液による汚れ
血液による汚れの場合は、ぬるま湯やお湯ではなく、水で対応します。
時間が経つと、汚れが落ちにくくなりますのでできるだけ迅速に処理してください。
- 汚れの裏側にタオルを当て、水を含ませたガーゼやタオルで、表側から「トントン」と優しく抑えます。
他の染み抜きと同じで、絶対にこすらず、強く叩くことのないように、扱ってください。 - それでもシミが残っている場合は、ハンドソープなどを薄めたせっけん液をコットンや綿棒などに染み込ませ、「トントン」と優しく抑えます。
これを行う前には、着物の色柄に影響がないか、目立たないところで試し、さらに輪染みにならないように、周囲から汚れを浮かしていきましょう。
また、汚れが広範囲に広がらないように、慎重に行ってください。 - 次に、コットンにぬるま湯を浸し、染み抜きを行った場所を優しく抑え、浮いた汚れを吸い取ります。
何度か繰り返し、血液汚れが取れるまで繰り返します。
自宅で着物の染み抜きをする際は、汚れの範囲が狭い場合に行ってください。
また、生地によっては、自宅での染み抜きで生地を傷める場合もありますので、注意してください。
鼻血などが付着して汚れの範囲が広い場合や、振袖や訪問着などの高価な着物の場合は、クリーニングに出すことをおすすめします。
自分で無理に着物の染み抜きをやろうとして失敗してしまったらショックですので、大切な着物に気になる染みを見つけた時は、早めに専門店に相談しましょう。
着物の染み抜き クリーニングの値段
クリーニング店に依頼した場合の着物の染み抜きは、汚れの範囲や汚れの種類、着物の状態によっても値段が変わります。
汚れの大きさ
汚れた範囲が狭ければ、料金も安くなります。
目安としては、1cm以下であれば、1,500円~3,500円程度。
3cm以上であれば、4,000円~6,000円以上の料金です。
汚れによる変色の有無によっても料金は異なり、変色がある場合には料金は高くなります。
汚れの程度
汚れの範囲が狭く、薄いシミの場合などは安価に済みますが、血液やインクなどが付着して時間が経ち、落ちにくいシミの場合には、6,000円~8,000円。
また、広範囲にシミが広がっている場合には、7,000円~9,000円程度は必要です。
また、長期間シミを放置いていると、手に負えなくなることもありますので、自宅で染み抜きが出来ない場合には、速やかにクリーニングに出しましょう。
さらに、汚れによって、退色や色の変化がみられる場合には、色の修正を行う場合もあります。
この場合は、追加料金がかかりますので、依頼するクリーニング業者に、問い合わせたほうが良いでしょう。
クリーニング業者に預けても、着物の傷みや汚れの具合によっては、請け負ってもらえないこともありますし、自分が思っているより、シミが深刻な場合には高額な料金がかかることもあります。
また、状態によっては、染み抜きだけでなく丸洗いをセットにすることをお勧めされることもあり、着物の種類によりますが、丸洗いには10,000円前後は必要です。
必ず、クリーニング業者に見積もりを依頼しましょう。
まとめ
以上、自宅で着物の染み抜きをする方法をご紹介しました。
普段から着物を着ることが少ない場合、着物についた染みに気付いたときには焦ってしまって、思わずこすって汚れを落とそうとしたり、お湯で汚れを拭き取ろうとしてみたりしてしまいがち。
ですが染みの種類や成分によっては、こすることで染みを広げる場合もあれば、お湯によって汚れを余計に染み込ませてしまうことにもなります。
でも、今回紹介した自宅で着物の染み抜きをする方法を知っていれば、そんな大惨事になるようなことにならないので、自分できっちり染み抜きをしないにせよ覚えておいて損はないハズですよ。