着物を売ろうと思って査定を受けたとき、「え、こんなに安いの！？」と驚いた経験はありませんか。
思い入れのある着物ほど、期待していた金額との差にショックを受けやすいものです。
ですが、その“安さ”には中古市場ならではの理由があり、事前にポイントを理解しておけば納得できる判断がしやすくなります。
また、業者選びや査定前の準備次第で、査定額を少しでも上げることも可能です。
本記事では、着物買取が安く感じやすい理由から、高価買取になりやすい特徴、安く買い叩かれないための具体的な対策までを分かりやすく解説します。
「着物 買取 安すぎる」と感じたときの具体的な対処法
「え、こんなに安いの？」とショックを受けたときこそ、落ち着いて動くことが大事です。
いきなりその場でサインしたり、逆に怒って全部を手放したりすると、あとから「やっぱり別の店で見てもらえばよかった」とモヤモヤが残りがちです。
まずはその査定額が本当に相場から外れているのか、状態・素材・産地などを踏まえて冷静に確認することから始めましょう。
そのうえで、他店での再査定や、一度売らずに活用する方法も視野に入れると選択肢が広がります。
査定額に納得できないときにやってはいけないこと
査定額が想像より安かったとき、真っ先に避けたいのは「不満を抱えたまま、その場の空気に流されて売ってしまうこと」です。
着物は一度手放すと基本的には戻ってきません。
店員さんに申し訳ないからといった理由で妥協すると、あとで気持ちの整理がつきにくくなります。
もうひとつやりがちなのが、感情的になってお店の人を責めてしまうこと。
査定基準はお店ごとに違いますし、「安い＝騙された」とは限りません。
怒ってしまうと、冷静に説明を聞いたり、内訳を質問したりする余裕がなくなってしまいます。
そして、「じゃあ他店の方が高いはず」と決めつけて、相場を確認せずに渡り歩くのも注意が必要です。
どの店でも似たような金額なら、それが今の相場という可能性もあります。
納得できないときは、一度持ち帰る、理由を丁寧に聞いてみる、メモを取っておく。
この三つを意識すると、次の行動がぐっと取りやすくなります。
別の着物買取専門店で再査定してもらう流れ
「この値段、本当に妥当？」と感じたら、別の専門店で再査定を受けてみるのは自然な選択です。
最初にすることは、査定結果の情報をざっくりメモしておくこと。
提示された金額はもちろん、「シミが多い」「サイズが小さい」「作家名が不明」など、説明されたポイントも控えておくと比較がしやすくなります。
次に、可能であれば着物買取専門店を2〜3社ピックアップしましょう。
リユースショップや総合買取店よりも、着物専門の方が評価の幅がある傾向があります。
候補が決まったら、店頭・出張・宅配のどの方法で査定するかを選びます。
大量にあるなら出張や宅配が便利ですし、じっくり相談したいなら店頭買取も安心です。
再査定の際は、「前のお店ではこのくらいと言われました」と正直に伝えても問題ありません。
そのうえで、どこをどう評価してくれたのか、プラスになった点・マイナスになった点を聞いてみましょう。
結果として金額が同じくらいなら、それが現実的な相場だと受け止めやすくなりますし、もし大きく違うなら、その理由を知ることで一番納得できるお店を選びやすくなります。
売らずに活用する選択肢（寄付・リメイク・譲渡など）
どうしても金額に納得できないときは、「売らない」という選択肢もアリです。
無理に現金化しようとすると、「この値段なら手放さなきゃよかった」と後悔につながりがち。
そんなときは、寄付・リメイク・譲渡といった別の活かし方を考えてみても良いかもしれません。
たとえば、福祉施設や団体が行っている着物の寄付受付を利用すれば、誰かの役に立つ形で手放すことができます。
また、着物リメイクのお店や作家さんに依頼して、ワンピース・バッグ・日傘・小物などに生まれ変わらせる方法も人気です。
生地の柄が気に入っているのに、着物としては着ない。。
という場合にはぴったりです。
家族や親しい友人に譲るのもひとつの方法です。
「自分はもう着ないけれど、孫が成人式で着てくれたら嬉しい」という気持ちがあるなら、譲渡や保管を選ぶのも十分価値があります。
お金には変えられない形で思い出を残せるので、「安すぎる査定にモヤモヤして終わり」にならずに済みます。
思い出の着物を手放すときに後悔しないための考え方
お母様やご自身の節目で仕立てた着物を売るとき、金額だけで判断するとどうしても心がザワザワしがちです。
後悔を少なくするには、「お金」と「気持ち」を切り分けて考える意識が役に立ちます。
査定額はあくまで市場でのリユース価値であって、その着物と過ごした思い出の価値までは反映されません。
まずは、自分の中で「何を大事にしたいのか」を整理してみましょう。
スペースを空けたいのか、少しでもお金に換えたいのか、誰かに受け継いでほしいのか。
それによって、売却・譲渡・保管・リメイクなど、ベストな選択肢は変わってきます。
さらに、手放す前に写真を撮っておく、エピソードをノートに残しておくなど、記録として残しておくのもおすすめです。
「もう手元にはないけど、ちゃんと区切りをつけて送り出せた」と感じやすくなります。
最後に、「あのとき自分なりに調べて、考えて決めた」と思えるかどうかが、いちばんのポイントです。
金額の多い少ないより、納得感を優先した選択が、後から振り返ったときに心を軽くしてくれます。
出張買取・宅配買取で安く買い叩かれないために
出張買取や宅配買取はとても便利ですが、「その場で強引に契約させられた」「思ったより安い金額で買い取られてしまった」など、慎重さが必要な場面が出てくることがあります。
特に初めて利用する人ほど、プロのペースに飲み込まれやすく、
気づいたらサインしていた。。
というケースも珍しくありません。
大切なのは、相手のペースに合わせるのではなく、自分の判断軸をしっかり持っておくこと。
制度や断り方、トラブル事例を理解しておけば、安心して利用できます。
その場で即決しないための心構えと断り方
出張買取では、査定後に「今なら高く買いますよ」「この場で決めてもらえると」と即決を促されることがあります。
強く言われると焦ってしまうものですが、そんな時ほど深呼吸。
着物は思い入れのある品が多く、冷静さを保つことが大切です。
即決を避けるコツは、あらかじめ「その場で売らない」と決めておくこと。
これは意外と効果的で、気持ちの余裕が生まれます。
断り方はシンプルで構いません。
「家族と相談したいので今日は決めません」
「比較したいので一度持ち帰ります」
この2つさえ覚えておけばOK。
理由を細かく説明する必要はなく、むしろ余計な情報を言わない方がスムーズなことも多いです。
また、査定だけを依頼すること自体は問題ありませんから、「今日は査定だけお願いします」と最初に伝えるのも有効です。
丁寧に、しかしハッキリと。これが安心して利用するためのポイントです。
クーリングオフ制度の内容と適用条件を知っておく
出張買取で特に知っておきたいのが「クーリングオフ制度」です。
訪問販売や出張買取など、自宅で契約した際にトラブルを防ぐための法律で、契約から8日以内であれば無条件で契約を解除できる仕組みです。
これを知っているかどうかで、後悔のしやすさは大きく変わります。
ただし、どんなケースでも適用されるわけではありません。
たとえば、店頭での契約や、自分から店舗へ持ち込みした場合は適用外。
また、買取した商品をすでに転売されてしまっている場合は手続きが複雑になることがあります。
重要なのは、契約書面を必ず受け取っておくこと。
そして、少しでも「判断を急がされた」と感じたら、日付を確認し、8日以内であれば迷わず連絡を入れましょう。
知識があるだけで、いざという時に自分を守る手段になります。
押し買い・しつこい営業を受けたときの対処法
一部の業者では、出張査定を依頼した着物以外の貴金属やブランド品を強引に勧誘してくることがあります。
いわゆる「押し買い」です。
突然の圧に驚いてしまう人も多いですが、対処法は意外とシンプル。
「応じない」ことを徹底するだけです。
具体的には、
「今日は着物以外は見せません」
「必要ないのでお帰りください」
これを落ち着いて伝えるだけでOK。
強い口調に聞こえても、こちらの権利として当然の対応です。
相手が引き下がらない場合は、玄関から外へ出てもらうよう伝え、家の中に入れないようにするのも有効です。
それでもしつこい場合は、迷わず警察相談窓口（#9110）へ連絡しましょう。
また、電話やLINEでしつこく勧誘されるケースもありますが、その場合は「今後連絡を控えてください」と明確に伝え、ブロックすれば問題ありません。
毅然とした態度が、最も効果的な対策になります。
実際に多いトラブル事例と回避するためのポイント
着物買取のトラブルで多いのは、「低すぎる査定で買い取られてしまった」「気づかないうちに契約書にサインしていた」「押し買いで不要なものまで渡してしまった」といったケースです。
初めての人ほど、業者のペースに飲まれやすいため注意が必要です。
こうしたトラブルを避けるには、事前準備がとても大切です。
まず、査定前に相場を軽く調べておくと、提示された金額が妥当か判断しやすくなります。
また、契約書は必ずその場で読み、わからない点は質問しましょう。
「急いでいる」と言われても、自分のペースを優先して大丈夫です。
さらに、複数の業者を比較することで、相場から外れた金額に気付きやすくなります。
特に専門店の査定は安定している傾向があるため、選び方一つでトラブルを避けられます。
最後に、少しでも不安を感じたらその場では決めないこと。
後から冷静に判断できる時間を作ることで、後悔を大きく減らせます。
知っておくことで避けられるトラブルは多いので、安心して利用するためにも、事前の知識と準備を忘れずに。
着物買取の相場と高くなりやすい着物の特徴
着物の買取価格は「種類」「素材」「サイズ」「状態」「証紙の有無」など、いくつもの要素が組み合わさって決まります。
同じ着物でも、これらの条件が違うだけで査定額が数千円〜数万円単位で変わることも珍しくありません。
なかでも振袖・訪問着・留袖などフォーマルな着物は、需要が安定している分、比較的高い価格がつきやすい傾向があります。
さらに、正絹や有名産地のもの、作家の落款入りといった着物は、リユース市場でも価値が認められやすく査定額が大きく伸びることがあります。
振袖・訪問着・留袖など種類別の買取相場の目安
着物の買取額は種類によって大きく変わります。
特に振袖・訪問着・留袖は需要が高いため、高額になりやすいカテゴリーです。
たとえば振袖は新品購入時の価格が高く、成人式や結婚式など着用シーンが多いため、買取相場は数千円〜数万円程度。
状態の良い正絹の振袖や作家物なら、さらに高く評価されるケースもあります。
訪問着も同じくフォーマルシーンで使われるため、比較的安定した需要があります。
一般的な相場は数千円〜1万円前後ですが、柄が現代向きのものや、保存状態が良いもの、証紙付きの産地ものはアップしやすい傾向があります。
留袖は黒留袖・色留袖で価値が異なり、黒留袖は使用回数が少ない場合が多いため、状態が良いものが多く、500円〜1万円前後が目安です。
さらに、帯や草履バッグなどとセットで持ち込むことで、査定額がセット評価されるケースもあります。
種類ごとの相場を把握しておくと、提示額が妥当かどうかの判断に役立ちます。
正絹・有名産地・作家物が高価買取になりやすい理由
着物の価値を左右する要素の中でも、素材・産地・作家は特に影響が大きいポイントです。
まず、正絹は見た目の美しさや質感が格段に良く、ウールや化繊と比べて市場での価値が高い素材。
リユース市場でも「正絹なら買いたい」という需要が多いため、査定額がアップしやすくなります。
産地では、大島紬・結城紬・加賀友禅・京友禅など、伝統工芸に分類される着物は特に評価されます。
これらは制作工程が複雑で職人技が必要なため、元々の希少価値が高く、中古品でも需要が落ちにくいのが特徴です。
そして、有名作家物はさらに別格。
落款入りや証紙付きであれば真贋が明確で、買取店側も再販しやすいため、高く買い取ってもらえる傾向があります。
作家の評価は市場で変動することもありますが、有名作家や人間国宝級の作品は安定した需要があり、「一点もの」として評価されやすいのが理由です。
サイズ・状態・証紙の有無が査定額に与える影響
着物の査定額に大きく関わるのが「サイズ」「状態」「証紙」の3つです。
まずサイズについては、身丈が長めの着物が評価されやすい傾向があります。
現代の体型に合いやすく、仕立て直しがしやすいからです。
反対に、小さめのサイズは需要が少なく、きれいでも価格が伸びにくいことがあります。
状態については、シミ・カビ・変色・においといったダメージがあると、査定額が下がる割合が大きくなります。
とくに長期保管していた着物は、表面に見えない汚れが影響することもあり、「見た目は綺麗でも査定額が下がる」というケースもあります。
証紙の有無も重要です。
大島紬・結城紬・加賀友禅など、有名産地の着物は証紙があることで産地証明になり、価値が明確になります。
証紙があるだけで、同じ着物でも数倍の査定額になることがあるため、捨てずに保管しておくべきアイテムです。
サイズ・状態・証紙は、どれも事前に確認しておくことで、査定額の根拠を理解しやすくなり、安すぎる査定を避ける手助けになります。
着物買取が「安すぎる」と感じるのはなぜ？
着物の査定額を見た瞬間、「こんなに安いなんて。。」と驚く人は少なくありません。
理由は、購入したときの金額や思い入れと、現在のリユース市場での価値に大きなギャップがあるからです。
着物は新品のときは高価でも、中古市場では需要が限られており、価格が大きく落ちてしまうことがあります。
さらに、サイズや状態、素材、証紙の有無など、細かな条件によっても査定額が左右されます。
とくにリユース市場では、実際に「買う人がどれだけいるか」がそのまま価値に直結するため、売る側の期待と市場価格が一致しないことが多いのです。
購入価格と買取価格に大きな差が出る本当の理由
着物は新品購入時、高品質な生地や手間のかかる仕立てなどにより高額な価格がつきます。
しかし、中古市場ではその価値が大きく変わります。
これは「新品の価値」と「中古としての実用価値」がまったく別物として扱われるためです。
たとえば、30万円で購入した着物でも、買取価格は数千円になることが珍しくありません。
着物は同じ価値のまま長く持続しそうなイメージがありますが、市場では“新品としての魅力”が最も価値を持つため、中古品は需要が限られます。
さらに、デザインが古い、色味が現代向きではない、着る機会が少ない種類であるといった要因もマイナスに働きます。
また、着物は保管方法によって状態が劣化しやすく、見た目に現れない傷みも査定に影響しやすい品物です。
購入価格とのギャップに戸惑う人が多いのは当然ですが、中古市場の価値基準を知ることで、その差の理由が見えてきます。
リサイクル市場の需要と供給から見る着物の価値
着物の買取価格は、市場での需要と供給のバランスに大きく左右されます。
着物は洋服のように日常で着る人が少なく、需要そのものが小さな市場となっています。
特にサイズが限られている着物は、着られる人がごく一部に絞られてしまうため、需要が狭くなり価格の伸びも鈍くなりがちです。
さらに、近年は大量の着物が遺品整理や断捨離で市場に流れ込んでおり、供給過多になっています。
買い手より売り手のほうが圧倒的に多い状況では、どうしても価格が下がってしまいます。
また、柄・色・生地に流行があるため、現代向きのデザインでないとさらに需要が少なくなります。
一方で、大島紬・結城紬・加賀友禅など“ファンが多く根強い需要がある着物”は例外で、一定の価値が保たれます。
市場の動きを知っておくことで、「なぜこの値段なのか？」という疑問も理解しやすくなります。
リユースショップと着物買取専門店の査定基準の違い
買取価格が安くなってしまう理由のひとつに、「どこで査定を受けたか」が大きく関係しています。
リユースショップは家電・家具・衣類など幅広く扱うため、着物専門の知識が十分ではないことが多く、査定額が低めに設定されがちです。
状態の見分け方や産地・作家・証紙の価値を正しく判断できず、結果として“一律に低価格”になるケースもあります。
一方、着物買取専門店は着物市場に精通しており、素材・産地・作家・需要を総合的に判断できます。
証紙があるもの、希少な織物、作家の落款など専門知識が必要なポイントを見極められるため、適正価格に近い査定が期待できます。
また、リユースショップは店頭販売が中心で在庫を抱えやすいのに対し、専門店は独自の販売ルートやオークションを持っているため、高く買い取っても再販しやすいのも理由のひとつです。
同じ着物でも査定する場所によって金額が変わるのは珍しくありません。
だからこそ、適切な業者選びが“安すぎる査定”を避けるための重要なポイントになるのです。
まとめ｜着物買取で後悔しないために知っておきたいこと
着物買取で「安すぎる！」と感じる背景には、中古市場の需要の少なさやサイズ・状態・証紙の有無など、複数の要因が重なっています。
新品時に高額だったとしても、市場価値とは必ずしも一致しません。
だからこそ、まずは相場の基準を知り、どこに価値がつきやすいのかを理解しておくことが大きな一歩になります。
査定額に納得できないときは即決せず、複数の専門店で比べることが大切です。
着物専門の買取店は知識が豊富で再販ルートも幅広いため、適正価格に近い査定が期待できます。
また、出張買取では押し買いや強引な契約に注意し、必要であればクーリングオフで対応できることも覚えておくと安心です。
どうしても金額に納得できない場合は、無理に売らずにリメイク・寄付・譲渡といった“別の活かし方”を選ぶのも良い選択肢です。
着物は金額以上に思い入れが大きいもの。
相場や仕組みを理解しつつ、自分が納得できる方法で手放すことが、後悔しないための一番のポイントになります。